
今日は、腰に違和感があるという方の施術。
最初から腰に触れるのではなく、いつも通り足元から様子を見ます。
足に触れたときに、まず感じたのは踵の硬さ。
「あー、ここが動きにくいと足首もかたくなっちゃうんだよな」
そんなことを考えながら、膝や股関節、背骨へのつながりを思い浮かべます。
踵まわりの靭帯を、ゆっくりと、やわらげていく。
関節にも刺激を入れながら、少しずつゆるむ方向を探っていきます。
「このあたりがゆるんでくると、足首の遊びが出てくるはず」
触れている手に、小さな反応が返ってきます。
そこから指先まで、関節のひとつひとつに動きをつけていく。
足先から踵、足首がほどけると、ふくらはぎから太ももへと、緊張の連鎖がほどけていくのがわかります。
背骨までの経路が、すっと通っていく感覚。
腰に直接触れる前に、背骨がすでに柔らかく動き始めていました。
こういう瞬間に、末端から整えることの力をあらためて感じます。
何度も経験してきたことだけれど、やっぱり身体はつながっている。
局所に囚われず、全体の流れを見て触れること。
それが、今日もいい変化をもたらしてくれました。
なぜ末端から整えるの?
身体は、筋肉や関節だけでなく、靭帯・腱・膜などの結合組織を通して全身がつながっています。
例えば踵まわりの硬さは、足首の動きの制限だけでなく、その上の膝や股関節、骨盤、背骨の動きにも影響します。
特に足は、常に地面と接して全身を支える土台です。
土台が安定し、しなやかに動ける状態になると、その上に積み重なる関節や筋肉も自然に動きを取り戻します。
腰や背中の不調があるときも、まず足元から整えることで、負担が減り、全体がスムーズに連動する状態に近づきます。「末端から整える」という方法は、そのための大事な入り口のひとつです。