
整体サロンで、「声」ってそんなに大事?
と思うかもしれませんが、実はとても大きな影響があります。
僕は、声が大きい人がちょっと苦手です。
といっても、怒鳴っているような声ではなくて、
ふつうにしゃべっているだけでも、地声が大きい人というのがいますよね。
それだけで空間がざわつくというか、落ち着かなくなってしまうことがあります。
以前勤めていた整体院では、複数のベッドが並んだ空間で施術していました。
仕切りはなく、声は丸聞こえ。
声の大きなお客さまもいれば、それに合わせて同じように大きな声で返すスタッフもいました。
もちろん、よほどでなければ「声を小さくしてください」とは言えません。
なので僕は、自分の声のトーンを落とすことで、
なんとなく空気に気づいてもらえたらいいなと思っていました。
でも、そんな空気を感じ取らずに返してしまうスタッフがいると、リラックスしたいお客さまに申し訳なく思うし、自分の集中も途切れるし、施術の質にも影響が出ます。
実際、お客さまの身体の反応が変わることもあります。
声に限らず、足音や所作の音もそうです。
音を立てていなくても、“動きがうるさい”というのは確実にあります。
バタバタ、ガサガサと動いているだけで、視界や空気がざわついて、安心して身体を預けるのが難しくなる。
身体って、「なんか嫌だな」と思っただけでも反応するものです。
筋肉はこわばるし、背骨にもわずかなゆがみが出ます。背骨は、嫌なことがあるとゆがみ、落ち着いたときに戻る。そんなことを、日常の中で何度も繰り返しています。
でも、嫌だと感じる刺激やストレスの割合が多いと、ゆがんだまま戻らなくなって、それが“クセ”として定着してしまうこともあります。
なので僕は、できるだけ落ち着いた声で話すようにしています。
それは、良い雰囲気を演出したいからじゃなくて、
お客さまの身体が、無意識にこわばってしまわないように。
実際、「声が落ち着きます」と言ってくださる方もいますし、触れ方や所作と同じくらい、声もまた“施術の一部”だと思っています。
静けさが心地よいと感じる方にとって、
この空間がちょうどいいと感じてもらえたら嬉しいです。