
肩こりや背中の張り感でお悩みの方へ。
肩や背中の筋肉を揉むと、その瞬間は少し楽になったように感じるけれど…。
そんなときには、肩や背中への施術だけではなく、
直接的に関わる部分だけでも腕や背骨、肋骨といった部分まで広くみていくのが大切です。
今回は、その一例として実際の施術の流れの一部分を切り取ったものをご紹介します。
背中の硬さと腕の関係
うつ伏せで、まずは背中の筋肉や肋骨の動きを確かめます。それと合わせて、骨盤を軽く揺らして背骨の動き具合も見ていきます。
このときは、肩甲骨の間にある背骨(上部胸椎)や、肋骨の硬さが強かったのですが、「腕からの影響も大きそうだな」と感じました。
そこでまずは、肩甲骨の上に重なる小さな筋肉(小円筋や棘下筋)や、二の腕の筋肉(上腕三頭筋)から緩めることにしました。
これらは腕を動かす筋肉なのですが、腕の動きと肩甲骨の動きが上手く連動していないと、肩や背中の筋肉に余計な負担や緊張を生むので、特に背中の硬さには直結するポイントです。
肩甲骨と肘を結ぶ二の腕の上腕三頭筋は、触れると奥の方に硬い芯が感じられたので、じっくりと圧をかけながら緩めていきます。
肩甲骨と肋骨のつながり
次に触れるのは、肩甲骨の裏側から肋骨にかかっている筋肉(肩甲下筋や前鋸筋)。
ここが硬いと肩甲骨が外から前に引き出され、いわゆる巻き肩になったり、背中が丸まったりします。
肩甲骨と肋骨の滑りも悪くなるので、肩甲骨の動きも制限され、肩や背中の張りを感じやすくなります。
「背中が張っているから背中を押す」のではなく、なぜそうなっているかをみていくことが大切です。
呼吸を深くするカギは肋骨
腰から腕のつけ根に広がる広背筋や、肋骨と肋骨の間にある肋間筋も欠かせません。
肋間筋が硬くなると肋骨の動きが制限され、それはそのまま呼吸の浅さにつながります。
そのため、肋骨を直接調整する前にしっかりと緩めておきます。
肋骨をひとつずつ丁寧に
仕上げは肋骨そのもの。背骨と肋骨のつなぎ目(肋椎関節)を一本ずつ確かめながら、関節の詰まりをほどいていきます。
直接は見えないつなぎ目を明確にイメージしながら指を当て、ほんの少し広げるように軽く力を加える。
無理やり広げるのではなく、軽く力を加えるのがポイント。そうすることで、自然と詰まりがほどけて指が沈み込んでいく。
つなぎ目がほどけてゆとりが出来たら、肋骨に動きを付けていきます。
肋骨は呼吸に合わせてバケツの柄のように上下するのですが、多くの人は上に引き上がったまま固まっていて今回も例外ではなかったので、肋骨を少し引き下げる方向へアプローチ。
硬さの強い部分にはピンポイントでじわっと刺激を入れていく。
その後肋骨全体を均すようにバランスを整えていくと、呼吸の入り方がぐっと変わってきます。
施術後に変わること
こうして肋骨の動きを取り戻すと、背中の緊張も和らぎ、呼吸が深くなります。
すると、肩の方まで自然と緩んでくる。
「肩や背中の張りをとる=そこだけを揉む」ではなく、なぜそうなっているかを考えて、腕や肋骨まで含めて全体で整えていくことが大切。
ここでは施術の流れの一部を切り取りましたが、実際には、足元から全体のバランスを取り、腕も指先から調整をしながら肩や背中のこわばりを取り除いていきます。
日常でできるひと工夫
すでにストレッチなどで筋肉を緩めることはされているかもしれませんが、そこに肋骨の動きを足すことで、呼吸が導かれて肩や背中が緩みやすくなります。
しっかり動く肋骨にするのに一番大切なのは、肋骨を認識すること。
身体の横や前側で構わないので肋骨をやさしくさすってみてください。場所や形を確認しながら、ちょっとしたすき間時間に「肋骨さすり」。
これを続けるだけでも身体は変わってきます。
まとめ
今回は「肩や背中の張り感」に対して、肋骨から整える施術の一例をご紹介しました。
実際の施術シーンも動画にしてありますので、よろしければあわせてご覧ください。